2013/11/22

「買わないで」から「たくさん買って」に態度急変。迷走し始めたパタゴニア

環境先進企業として知られる、アウトドア・アパレルのパタゴニア。

一昨年の年末商戦では、不要な消費を抑えるため、自社の製品を「買わないで」と主張する新聞広告を出したほどです。その広告には、モノを生産するには大きな環境コストがかかることを知ってほしい、それはパタゴニアの製品だって同じこと、だからモノを買う前に必要かどうか考えて欲しいと記されていました (パタゴニアがサイバーマンデーに送付したメルマガの内容)

メディアや消費者はこの広告を大絶賛し、パタゴニアの人気は急上昇。皮肉なことに、「買わないで」と訴えた同社の売上は、その後1年で前年比30%増加しました。

その後も、「責任ある経済」キャンペーンを展開するなど、経済成長を前提とする資本主義を変えていこう、と主張してきた同社。

ところが、本日届いた同社のメルマガには、「3つ以上買うと20%引&送料無料」の文字が。

2013/11/07

石鹸シャンプー後日談

以前記載した石鹸シャンプーの記事(石鹸シャンプーを始めました)を今でも読んで下さる方が多いようなので、後日談をお伝えしようと思います。

以前お伝えしたように、最初はドクター・ブロナーのリキッド・ソープとシトラス・コンディショニング・ヘアリンスを使用していましたが、リンスの方は、水で薄めなければならないことが面倒で、2本ほど使用した後にやめました。
同じように感じた方が多かったのか、ちょうどその頃にホールフーズでも取扱がなくなり、ネットでオーダーするのが面倒だったということもあります。

その後は、シャンプーのみでリンスはしていませんが、何ら問題ありません。
髪が長いので、シャンプー後にいきなりブラシで梳かすとさすがに引っかかりますが、ある程度乾いてから手でざっと梳かし、その後にブラッシングすれば問題ありません。
使い始めの頃は、シャンプーをする前に髪を濡らした状態でブラッシングしていましたが、非常に時間がかかるうえ、切れ毛が多いように感じたのでやめました。

2013/09/25

パタゴニアの新広告、失敗の理由

ニューヨークコレクション真っ只中の910日、アウトドアアパレルのパタゴニアが、ニューヨークタイムズ紙に「新品よりも良い(Better than New)」という全面広告を掲載しました。

広告には、1994年から着続けられているというボロボロのサーフショーツの写真と共に、次のようなメッセージが書かれていました。

「ファッションウィークでは、新しいデザインに関心が向けられます。
私たちはもっと良いこと、すなわち「長持ちする」ことに注目したいと思います。
パタゴニアは製品の品質と機能性に自信を持っていますが、新たに製品を作ろうとすれば(他の人が作るものもすべてですが)、必ず自然界に負荷をかけることになります。そして、かけた負荷をどうやって取り戻せるのか、私たちは十分に理解していません。

そこでパタゴニアは、新しい製品だけでなく、古い製品にも注目することにしました。

2013/07/24

原発被災地訪問の記録

日本出張中、以前働いていた会社が主催する、震災復興・社内ボランティアプログラムにOGとして参加させて頂き、津波被災にあった宮城の名取市と福島の相馬市、そして原発被災地である南相馬市、浪江町を訪問しました。

その様子を共有したいと思います。

ゆりあげ港朝市


仙台駅近くのホテルからバスに乗り、最初に訪れたのは、宮城県名取市閖上のゆりあげ港朝市
津波被災で漁港はすべて流されましたが、30年前から続く朝市を復興させようと、今年から仮設店舗で再開。
魚介類から練り物、乾物、肉や中華料理まで、幅広いジャンルの食品を揃えており、市場内は大混雑。既に近隣住民の週末朝の定番となっている様子。
購入した採れたての魚介類をその場で炭火で焼いて食べられるコーナーもあり、楽しめます。

この地域では、高台に住みたいという住民の希望により、数メートルの盛り土をしてその上に家屋を建てる計画が進行しているそうですが、町全体を高台にするのにいったい何年かかるのか、盛り土した地盤の強度に問題はないのか、詳細は確定しないまま。
阪神大震災後に急いで建てられた住居が、住みにくさゆえ現在なかなか借り手がつかないそうで、その教訓を活かし、たとえ一年遅れても、綿密な計画の後に開発に着手すべきではとのご意見も。

2013/07/09

「サスティナブルシティ ニューヨーク 持続可能な社会へ」出版しました


先日お知らせしました本、書店やネットでの販売が開始されたようです。

ご興味お持ち頂けましたら、お手にとって頂けますと幸いです。

「サスティナブルシティ ニューヨーク 持続可能な社会へ」
繊研新聞社 田中めぐみ

世界有数の大都市ニューヨーク。
そこに暮らす人々や企業、政府が、
持続可能な社会を目指して奮闘する様子を描いた本。

ニューヨークのサステイナブルな取り組みのみならず、
エコかっこいいネイバーフッドと言われるブルックリンの裏の顔、
空中庭園ハイラインができるまでの知らざれるストーリー、
アメリカ原子力発電の実態など
ニューヨークやアメリカの意外な一面、

2013/06/20

本を出版します

7月に以下の本を上梓致します。

「サスティナブルシティ ニューヨーク:持続可能な社会へ」(繊研新聞社)

ニューヨークがサステナブルな都市に向けて邁進する様子を、市のサステイナブル政策から人々の生活スタイルまでさまざまな視点で捉え、読み物スタイルで記しました。

ニューヨークをイメージしながら楽しく読んで頂き、サステイナビリティについてあまりご存知ない方でも、読み終えたときに、いつの間にか、環境・社会問題に関して網羅的な知識が身についていた、というような本になることを目指して作りました。

ニューヨークが好きな方、行ってみたい方、都市政策やサステナビリティにご興味のある方、いろいろな方にお読み頂けると嬉しく思います。

少し、製作秘話をお話すると・・・

2013/06/12

コカコーラ社の肥満防止キャンペーンから考察する、持続可能社会における企業のあり方

今年の初めから、コカコーラ社が、肥満防止キャンペーン「カミング・トゥギャザー」を展開しています。
缶コーラ一本分のカロリーを消費するにはたったこれだけの運動で済みます、カロリーが気になる人は同社の"ダイエット"製品や水など低・ノーカロリー製品、ミニサイズの製品を飲みましょう、といった広告です。

さらに5月には、このキャンペーンを世界展開し、12歳以下の子供向け広告を全世界で禁止することを発表。
同時期には、傘下のコカコーラ財団が、本社のあるジョージア州の複数の非営利団体に対し、州民の運動を促す活動のためにと38億ドルを寄付しています。(Coca Cola)

ここまで読んで、だから何?と思った方もいらっしゃるかもしれません。

コカコーラが肥満防止キャンペーンを行うというのは、タバコメーカーが禁煙キャンペーンを展開するようなもので、アメリカ人にとって非常に違和感を感じることなのです。

日本に在住の方にお伝えすると、多くの場合、信じて頂けないか、軽く流されるのですが、

2013/06/01

差別という学び

ヘイトクライムが多発するニューヨーク(twitter)。
最近頻発しているのはゲイに対する被害ですが、人種的な差別も根強く残っています。

先日私も人種差別かもと思われる、ちょっとした被害に遭いました。

休日の夕方、地下鉄ホームで電車を待っていると、
急行から各停へ大騒ぎしながら走って乗り移る、10代後半くらいの黒人キッズ4人組がいました。
各停に乗るや否や、食べていたポテトチップスの缶をホームに投げ捨て。
ポイという感じではなく、投げつけたという風で、
わざとかどうかはわかりませんが、それが歩いていたアジア人女性に当たりました。
女性は当惑しながらもその場を去っていきましたが、
その後も、仲間の一人を車外に押し出したり、とにかく大騒ぎ。

ドアが閉まり電車が走りだすと、今度は無理やりドアをこじ開けようと必死。
何をしでかすのかと見ていると、私の前に来たところでこじ開けたドアの隙間から私にかかるように唾を吐きました。

2013/05/22

フラッキングを煽るメディアに誠実な対応、難燃性ウェアブランドのブルワーク

ハイドロフラッキングの環境・社会負荷が長いこと大きな問題になっている中(詳細はこちら)、先日、ウォールストリートジャーナル紙が、米国内石油ガス開発ブームに伴い、難燃性衣料「フラックウェア」業界が色めき立っている、という内容の記事を掲載しました(WSJ)。

この記事には、VFコープ傘下の難燃性衣料ブランド、ブルワークFRへのインタビューも掲載されていましたが、記事が掲載された2日後、同ブランドはブログ内でこの記事に対するコメントを発表。

2013/05/20

天からの贈り物:岩牡蠣の真珠


週末に、「Jiro Dream of Sushi」という映画を見て、どうしても寿司が食べたくなり、日曜だというのに急遽マンハッタンの寿司屋に予約して行きました。
寿司の前に、まずは岩牡蠣を頂いたのですが、口に入れると、ガリッと硬いものが。
驚いて取り出してみると、1mm程度の小さな乳白色の玉。
ゴミか何かと、訝しがっていると、カウンターにいた職人さんが「たぶん真珠のようなものだと思います」と。
まさか牡蠣から真珠が出来ると思わなかったので、本当ですか?と聞くと、
わざわざ厨房に行って確認してくれて、「店ではそういう玉を扱っていないので、やはりそうだと思います」とのこと。

せっかくなので家に持ち帰り、早速調べてみました。

2013/03/29

過去から学ぶこと

ニューミュージアムに、「NYC 1993: Experimental Jet Set, Trash and No Star」を見に行きました。

説明書きには、90年代初期に起こっていたこととして「欧州の紛争、中東和平、エイズ問題、医療保険問題、銃規制、同性愛者の権利」と記載されていました。

すべて、最近のニュースで盛んに取り上げられていることばかり。
20年前経っても、何ひとつ解決されていないことを実感しました。
 恐らくキュレーターも、それを伝えたかったのではないかと思います。 

ただ、展示は全体として性的な作品やエイズや銃による殺人など社会問題を問い掛けるグロテスクな作品が多く、総括していえば"変態の館"という感じでしたが(アーティストの方々、すいません・・・)、現在はオーガニック関連の店の出現がジェントリフィケーションの兆候と見られているくらいですから、文化的には20年間でだいぶ穏やかになったのだろうと思います。 

いまから20年後の2033年には、上記の諸問題は解決されているのか。
私たちの行動が問われているのでしょう。


2013/03/22

クラウド時代のファッションの形

かねてから、いずれファッションはウエブ上でオーダーメイドになるだろう(買い手が欲しいもののみを作り販売するようになる)と思っていたのですが、TeePublicにその片鱗を見たように思います。

TeePublicは、クラウドファンディング型のTシャツショップです。
不特定多数の「デザイナー」が、TeePublicのサイトに自分のデザイン(写真も可)をアップロードし、1カ月以内に30人以上の購入希望者を獲得するとTシャツとして製品化され、希望した人たちに販売されるという仕組みです。
一度製品化されると、永続的にそのデザインがサイトに掲載され、販売され続けます。
Tシャツは1枚20ドルで販売され、デザイナーは1枚販売される毎に5ドルのデザイン料を受け取ります。
Tシャツの型と素材は決まっているので、デザイナーはそこに描かれるグラフィックデザイン(色制限なし)と地色(1色のみ)を選ぶことができます。

TeePublicを「ブランド」と捉えるなら、ファッションブランドに「デザイナー」は必要なくなったということでしょう。

2013/03/12

ニューヨーク市の糖分入り飲料のサイズ規制、
施行前日に州最高裁判事が否決
~なぜこんなにも批判が多いのか~

昨年大きな話題となった、ニューヨーク市の糖分入り飲料のサイズ規制。
これは、市の肥満対策の一環で、映画館やデリなどで販売されているカップ入りの糖分入り飲料に対し、16オンス(約450g)以上の販売を禁止するという条例です。
昨年、この条例を市議会が可決し、本日3/12から施行されることになっていました。
市内の店舗は、メニューを変えたり注意書きしたりと、今日の施行に向けて準備を進めていました。

ところが、昨日(3/11)、突如ニューヨーク州の上位裁判所判事がこの条例を無効とする判決を下しました。
これに対し、メディアは一斉に判決に対する好意的なニュースを流しました。

昨年から、このニュースをずっと追っていたのですが、どうにも奇妙な感覚を抱いていました。
その理由のひとつは、メディアがこの規制に対する賛成意見をほとんど出していないことです。

もちろん、この規制は抜け穴があまりに多く(規制対象が映画館やデリのみで、コンビニやスーパーは除外、主に炭酸飲料のみが対象で、乳製品などは除外、など)、それに対する不満は当然だと思います。
個人の選択の権利の侵害だという意見も、アメリカ人らしくて最もだと思います。

ただ、ニューヨークは健康志向の高い街ですから、地方都市でよく見かけるような、バケツのようなカップで炭酸飲料を飲んでいる人など、ほとんどいません。
むしろ、炭酸飲料やファストフードを嫌悪している人の方が多いと思います。
2年前のオキュパイ・ムーブメント(ウォール街を占拠せよ運動)でも、批判の対象は金融業界と「大企業」でした。

2013/02/19

魚介類のサステナブル認証から考える現代社会の問題点

先日、マクドナルドが全米で販売するフィレオフィッシュにMSC認証マークを付ける(=認証済の魚を使用する)ことを発表しました(MSC)。

MSCとは、「Marine Stewardship Council」というサステナブルな漁業に関する認証機関のことで、日本では「海のエコラベル」という名前で徐々に普及し始めています。
MSCの認証を得ている魚貝製品には、青い魚のデザインのマークが付けられ、乱獲や違法漁業が行われていないことが証明されています。

このニュースを報じた多くのメディアがマクドナルドの決断を称賛していましたが、私は手放しで喜ぶべきではないような、どこか腑に落ちない感じがしました。
同じように感じた人は多かったと見て、このニュースが出た後に、アメリカの公共ラジオ局NPRがMSCの問題点に関する記事を3回にわたり掲載しています。
記事1記事2記事3

これらの記事では、MSCの設立から現在に至るまでの経緯とその問題点を、次のように記載しています。

2013/02/14

ニューヨーク州知事、サンディ被災地の買取計画を発表

先月行われた、ニューヨーク州知事の施政方針演説の中で、ハリケーン・サンディ被災地の買取計画が発表されました。
「Recreate NY-Home Buyout(ニューヨーク再生:住居買取)」と名付けられたこの計画は、特に被害が大きかった沿岸部一帯を州がサンディ以前の価格で買い取り、更地にするというものです。
この時点ではまだ予算額は明示されていませんでしたが、その後NYTimes紙の調べで、510億ドルの連邦復興予算のうち、4億ドルがこの計画に充てられる予定であることが判明しています(NYTimes)。

演説の中で、アンドリュー・クォモ知事は次のように述べています。

「被災地を訪問した際、多くの方々が、過去数年の間に何度も深刻な洪水被害に遭い、これ以上同じことを繰り返したくない、家を売却したいと言っていました。」

「これらの地域は自然界の所有物なのでしょう。数年に一度、母なる自然が帰るべき場所に帰ってきているだけです。こうした地域に住む方々が高地に引越したいと考えるのは、賢い選択といえるでしょう。」