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2015/08/05

CSRの投資対効果を考える

CSRは将来の環境や社会に対する長期的投資の側面が強いため、投資対効果(ROI)が出るのに時間がかかるうえ、研究開発やマーケティングと同様に数値化が難しい分野です。

にも関わらず、アメリカでは随分前からCSRのROI測定の必要性が議論されており、これまでに多くの企業や研究機関が検証しています。これら300以上の既存の論文と独自の調査をまとめた研究結果を、バブソン大学教授らが先日発表しました。

2015/06/11

カリフォルニアの水不足、その後の状況

前回の記事でカリフォルニアの水不足に対する企業の自主規制について紹介しましたが、記事が配信された当日、州知事が都市部の水使用量25%削減(2013年比)という厳しい節水規制を発表しました。

規制内容は、各自治体に対してこれまでの努力状況に応じて4~36%の削減目標を定め、今後9ヶ月で計120万エーカー・フィート(14億8千万㎥)の節水を実現するというものです。削減対象は主に、景観維持用の屋外利用の水です。

2015/04/16

既に始まっている気候変動:深刻な水不足に米企業はどう対処しているのか

国土が大きいアメリカでは、干ばつ、洪水、竜巻、ハリケーン、山火事、猛暑、厳寒、大雪と、地域により多種多様の異常気象が発生しており、その規模と頻度は増すばかりです(一週間にどれだけの災害報道があるか、ヤフーコラムに記載しています)。

中でもとりわけ深刻なのが、カリフォルニア州の干ばつです。同州では過去4年間、深刻な水不足が続いており、昨年から市民と水関連の事業者に対し、洗車や植物の水遣り制限、水使用量の報告強化等の緊急規制が課されています。今年に入り、飲食・ホテル等の事業者にも規制が課されることになりましたが、顧客から要求があった場合のみ水を提供する、タオルやベッドリネンを毎日替えない選択肢があることを目立つように表示するといった軽度の規制のみであり、製造業等への規制はありませんでした。


2015/03/31

環境・社会問題に対する企業の役割

先月のダボス会議で、「ビジネスは社会問題の解決をリードすべきか」と題したセッションがありました。

以前お伝えしたように、アメリカでは、社会便益を追及する新たな企業形態「ベネフィット・コーポレーション」が生まれ、多くの企業が株式会社から組織変更しています。この背景には、企業の存在意義を問う声、企業はどこまで環境・社会問題に責任を負うべきかという議論が増えていることがあります。ダボス会議のセッションでは、これに対する興味深い意見が提示されていたので、ご紹介したいと思います。

2015/02/01

サプライチェーンの透明性

アメリカでは、CSR情報の開示に関する政府の規制が徐々に増えてきています。

そのひとつに、2012年に施行されたカリフォルニア州サプライチェーン透明法があります。

同法は、同州で事業を行う、世界売上1億ドル以上の小売・製造業者に対し、サプライチェーンにおける人身売買や奴隷労働を排除する取組みを開示するよう求める法律です。

あくまで、同州事業者のみを対象とする州法に過ぎませんが、大企業の多くが同州で事業を行っているため、現在、当該情報を開示している企業は400社ほどにも上ります。

また、同法は排除を強制するものではなく、情報開示の要請に留まりますが、対策していないことへの批判を恐れる企業に対して牽制の役割を果たすため、実質的には抑制効果があると考えられます。

2014/12/15

社会的企業のための新たな企業形態「ベネフィット・コーポレーション」

営利企業でありながら社会的な便益も追及する、いわゆる社会的企業が世界的に増えています。アメリカではこうした情勢を反映し、いち早く法整備が行われています。

株式会社や有限責任会社(LLC)などに代わる新たな企業形態として、「ベネフィット・コーポレーション」という法人格を認める法案が次々可決され、多くの企業が組織変更を行っています。

アメリカでは州ごとに企業形態が定められていますが、現在ベネフィット・コーポレーションの設立・組織変更を認めている州は27に上り、さらに14州が法案可決に向けて動いています。

2014/09/05

言葉に惑わされない

海外在住者として私が感じる日米間の違いの中に、言葉の捉え方があります。

たとえば、一時期日本で「CSRからCSVへ」といった論調の記事をよく見かけました。

ご存知の通り、CSRは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)であり、CSVはマイケル・ポーター教授が提唱した、共通価値の創造(Creating Shared Value)のことです。

詳細は教授の論文やメディアの記事を見て頂ければと思いますが、ざっくりと言えば、ポーター教授の主張は、社会活動を責任と捉えるのではなく、機会として事業に取り入れ、社会問題を解決しながら企業利益を生む、つまり、企業価値と社会価値を共存させる、ということです。

素晴らしい概念ではありますが、アメリカでは、似たような意味を持つ言葉として「トリプル・ボトムライン(社会(People)・環境(Planet)・財務(Profit)のすべてで利益を生む)」や「自然資本主義(自然資本と人的資本を資本主義に取り入れる)」などがありますし、CSRは事業と無関係の慈善活動のみとは捉えられていないため、CSVという用語が特別注目されることはありませんでした。

2014/01/17

企業の透明性

よく行くメキシカン・スローファストフードのチポレ
オフィスの近くに店ができたので行ってみると、店内にこんな貼紙がありました。


「お知らせ:供給不足のため、現在この店では”Conventional(従来の方法)”で飼育された牛のステーキ肉を提供しています。できる限り早く、”Unconventional(従来通りではない方法)”で飼育した牛の肉に戻す予定です。」

”Conventional”は、直訳すると”通常の”や”従来型の”という意味ですが、一般的に”オーガニック”の反意語として使われる用語で、農薬や殺虫剤を使って栽培した野菜などに使われます。

このお知らせでは肉のことを指しているので、

2013/11/22

「買わないで」から「たくさん買って」に態度急変。迷走し始めたパタゴニア

環境先進企業として知られる、アウトドア・アパレルのパタゴニア。

一昨年の年末商戦では、不要な消費を抑えるため、自社の製品を「買わないで」と主張する新聞広告を出したほどです。その広告には、モノを生産するには大きな環境コストがかかることを知ってほしい、それはパタゴニアの製品だって同じこと、だからモノを買う前に必要かどうか考えて欲しいと記されていました (パタゴニアがサイバーマンデーに送付したメルマガの内容)

メディアや消費者はこの広告を大絶賛し、パタゴニアの人気は急上昇。皮肉なことに、「買わないで」と訴えた同社の売上は、その後1年で前年比30%増加しました。

その後も、「責任ある経済」キャンペーンを展開するなど、経済成長を前提とする資本主義を変えていこう、と主張してきた同社。

ところが、本日届いた同社のメルマガには、「3つ以上買うと20%引&送料無料」の文字が。

2013/09/25

パタゴニアの新広告、失敗の理由

ニューヨークコレクション真っ只中の910日、アウトドアアパレルのパタゴニアが、ニューヨークタイムズ紙に「新品よりも良い(Better than New)」という全面広告を掲載しました。

広告には、1994年から着続けられているというボロボロのサーフショーツの写真と共に、次のようなメッセージが書かれていました。

「ファッションウィークでは、新しいデザインに関心が向けられます。
私たちはもっと良いこと、すなわち「長持ちする」ことに注目したいと思います。
パタゴニアは製品の品質と機能性に自信を持っていますが、新たに製品を作ろうとすれば(他の人が作るものもすべてですが)、必ず自然界に負荷をかけることになります。そして、かけた負荷をどうやって取り戻せるのか、私たちは十分に理解していません。

そこでパタゴニアは、新しい製品だけでなく、古い製品にも注目することにしました。

2013/06/12

コカコーラ社の肥満防止キャンペーンから考察する、持続可能社会における企業のあり方

今年の初めから、コカコーラ社が、肥満防止キャンペーン「カミング・トゥギャザー」を展開しています。
缶コーラ一本分のカロリーを消費するにはたったこれだけの運動で済みます、カロリーが気になる人は同社の"ダイエット"製品や水など低・ノーカロリー製品、ミニサイズの製品を飲みましょう、といった広告です。

さらに5月には、このキャンペーンを世界展開し、12歳以下の子供向け広告を全世界で禁止することを発表。
同時期には、傘下のコカコーラ財団が、本社のあるジョージア州の複数の非営利団体に対し、州民の運動を促す活動のためにと38億ドルを寄付しています。(Coca Cola)

ここまで読んで、だから何?と思った方もいらっしゃるかもしれません。

コカコーラが肥満防止キャンペーンを行うというのは、タバコメーカーが禁煙キャンペーンを展開するようなもので、アメリカ人にとって非常に違和感を感じることなのです。

日本に在住の方にお伝えすると、多くの場合、信じて頂けないか、軽く流されるのですが、

2012/07/12

プーマの環境志向

プーマのヨッヘン・ザイツ会長が、フィナンシャルタイムズ紙のインタビューで、将来的に革製品を扱わない可能性に言及しています(FT)。
具体的な発言は、次のとおり。

「いずれは革に代わる素材を見つけないとならないだろう。それについて疑問の余地はない。」
「我々皆で、肉の消費量を減らしていかなければならないし、革についても同じことだ。それが現実だ。」
「牛肉がCO2排出量増加に加担していることは、誰もが知っている。」
「ばかばかしいと思われるかもしれないが、革に似た合成素材で製品を作る経済的な方法はあるだろう。」

2012/04/23

フォーチュン・グリーンカンファレンスのレポート

先週初め、3日間にわたり、フォーチュン社主催のグリーンカンファレンスが開催されました。
同誌がグリーンカンファレンスを開催するのは今年で4回目。
多くの大手企業CEOが参加するハイクラスのカンファレンスです。

ウォルマート、コカコーラ、グーグル、フォード、ジップカー、ストーニーフィールド、UPS、スプリント、シーメンス、GE、リサイクルバンク、カーギル、ダウ、シティグループ、クレジットスイス、マッキンゼーなど企業経営陣、ハーバード、イェール、UCLAなどの大学教授、環境NGOのナショナル・ディフェンス・ファンドやネイチャーコンサーバンシー代表、政治関係者など、多彩な顔ぶれでした。

テーマは、エネルギー、交通、食、企業経営など様々。
「フラッキングがすべてを変えるのか」「グリーンマネーを追え」「21世紀の交通」「電気自動車がマス市場に登場するのはいつか」「サステナビリティの限界を超える」「欠乏の時代のリーダーシップ」「アメリカ人にグリーンを考えさせる方法」「自然の価値とは何か」「メディアがゲームの流れを変えるか」など、さすが雑誌社主催のカンファレンス、タイトル設定が上手いです。