カナダの研究者チームが、25年間にわたり40~59歳の約9万人の女性を対象に調査を行った結果、マンモグラフィーを受けた人と受けなかった人の乳がんによる死亡率は変わらなかったと発表しました。
というのも、アメリカでは、マンモグラフィーへの過度な依存を疑問視する声が以前から囁かれていたからです。
その経緯については、医学書院 にボストン在住の医師が日本語で詳しく書かれているのでそちらをお読み頂ければと思いますが、簡単にまとめると、公衆衛生の専門家から成る米予防医学タスクフォースが、マンモグラフィーの推奨受診対象を40歳以上毎年としていたところ、09年に50歳以上2年に一度と改正。その理由は、40代の乳がん罹患率が低く、乳房組織が蜜であるため誤って陽性と判断される可能性が高く、それによる不必要な検査や手術などの弊害があるため。しかし、利害関係のある放射線医などがこれに猛反発。折りしも、民主党が進める健康保険改革に共和党が反発していた時期だったため、この件が政治論争に持ち込まれてしまった、という内容です。
実は、私自身、まさにこの「弊害」を受けた経験があります。
検診の一環として受けたマンモグラフィーで乳がんの可能性があると診断され、再診。それでも疑いがあるとのことで、マンモトーム生検という、部分麻酔で直径5mmほどの針を刺して組織を取る手術を受けるよう言われました。
ほとんどの方はこの時点で何の疑問も抱かずに生検を受けるようですが、私は生検の必要性に疑問を感じましたし、手術の際にチタンのチップを埋め込む(陽性だった場合の手術の目印として)ことに抵抗があり、セカンド(実際はサード)オピニオンを聞きに行きました。
最初に伺った婦人科医は、自分にはわからないからと乳がん専門の執刀医を紹介してくれました。
次に紹介された執刀医のところに行くと、「生検を受ける前に私のところに来るなんて驚きだ」と言われ、マンモグラフィーのフィルムを見ることすらせずに、触診(微細石灰化なので触診ではわからないはずですが)と生検の手順を説明されただけでした。
結局サードオピニオンまで聞いてわかったのは、医師にもわからないのだから、自分自身で決めるしかないということでした。
私自身は生検を受ける必要はないと思ったのですが、やはり命に関わることですから、家族や相談した友人・知人が全員大反対したため、結局受けることに決めました。
結果は、術後1週間ほどでわかり、陰性でした。
結果が陰性だったから言えることかもしれませんが、要再診の報告を受けてから手術結果がわかるまで1ヶ月ほどの耐え難いほどの心労と、体内に残った不必要な金属、術後の痛みと行動の制約、マンモグラフィーの偽陽性率(マンモで陽性だったがその後の検査や手術で陰性)が97%という事実(医学書院)などを考えると、安易にマンモグラフィーを受けることの恐ろしさを強く感じます。
もちろん、安易にマンモグラフィーを否定すべきでもないと思います。直接・間接的な知り合いを含めて周囲には、マンモグラフィーで早期発見して治療中の方や、乳房切除の末に乳ガンを克服された方、若くして乳がんで亡くなった方などがいらっしゃいますし、マンモグラフィーで救われた命は多々あると思いますから、必要であることは間違いないと思います。
しかし、アメリカでは過度に乳がんの不安を煽っているように感じるので、利害関係者は今回の研究結果を重く受け止めて欲しいと思います。
今回発表された研究結果を受けて、専門家の多くは、決してマンモグラフィーを軽視すべきではないが、何よりガンの原因究明により多くのコストをかけるべきと仰っていました。
また、私だけでなく、検査結果を待つ間の心労は本当に多くの方が感じていらっしゃるようですから(NBC)、医師が十分な説明をするなり、判断の精度を高めるなり、マンモグラフィーとそれに付随する検査や手術など一連のシステムにも何らかの対策が必要ではないかと思います。
最後に、こちらに記載したことはあくまで私の経験と主観でしかありませんので、胸に異変を感じた方や異変がなくても検診を受けようされている方は、躊躇せずにマンモグラフィーを受けて頂きたいと思います。
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