直径50cmほどに育った大株の水菜、大根、カブなど・・・たかが野菜とはいえ、3ヵ月大切に育て大きく成長した野菜を盗まれたのは、悲しいことです。
ガーデンは、高さ3mほどの鉄柵で囲まれ、入り口は会員のみが開けられる鍵がかかっているので、通常は外部の人は入ることができません。
但し、コミュニティガーデンでは夏は週20時間以上一般に開放しなければならないという規則があり、私が所属するガーデンでも、夏の週末日中は会員でない人も自由に出入りし見学できるよう一般開放しています。
今回のできごとは一般開放を行っていない冬に起こったので、会員の方なのかもしれません。
私は自然農法を実践しているため、草が生えていて管理されていないように見えるようなので(ニューヨークで家庭菜園)、勝手に育った野菜だからとってもいいと思われたのかもしれません。
実は、コミュニティガーデンの野菜の盗難は、昨夏からニューヨークで大きな話題になっていました。
NYタイムズでも取り上げられています。
お年寄りが勝手に取って行ってよいものと思い、持って行くケースなどもあるようです。
私の所属するガーデンでも、夏に、大切に育てていた大きなスクウォッシュを盗まれたと大騒ぎしていた人がいました。
その時は、たかが野菜なんだからそんなに大騒ぎしなくてもと思ったのですが、実際に盗られてみて、その方の気持ちがよくわかりました。
盗難後、他のメンバーにも聞いてみたところ、野菜が「消える」ことは時折あるということでした。
運営委員の代表者に今回の件を報告したところ、こうしたことが起こったのは非常に残念だが、運営委員会は警察ではないので犯罪を取り締まることはできない、区画に柵をしたり注意書きを書いて自己防衛するしかないとのことでした。
早速、区画にロープを張り、注意書きを立てましたが、そうしなければならないことに悲しみを感じました。
コミュニティガーデンには、地域の犯罪を防止する役割があります。
他にも以下のようなメリットがあります(米コミュニティガーデン協会)。
・ガーデンに携わる人々のQOL向上
・地域開発のきっかけ作り
・社会的交流の促進
・自立を後押し
・景観の美しさ
・栄養価の高い食品の提供
・食費の軽減
・資源保全
・レクリエーション、運動、癒し、教育の機会創出
・犯罪率削減
・緑地保護
・所得機会、経済発展
・道路や駐車場によるヒートアイランド現象緩和
・世代間、異文化間の繋がりの機会創出
実際に携わってみて、これらすべて効果があることを実感しますし、地域の防犯にも役立っていると思いますが、内部でこのようなことがあるのは残念です。
時々野菜が「消える」と言っていた方も、その度に人が信じられなくなるので退会しようかと思うと言っていました。
それでも、ニューヨークのような都市部で農作業ができるのは非常に貴重な機会なので、思い留まるようですが。
私もそうですが、コミュニティガーデンに携わる人の多くは、野菜を育てることに意義や楽しみを感じているので、収穫の多寡にそこまでこだわることはないと思います。
生活の足しにしたいので少し分けてもらえませんかと一声掛けてくれれば、皆、喜んで差し出すと思います。
実際に、たくさん収穫できた野菜を通りがかりの人に配っている人や、畑を管理する時間がないから勝手に取っていいですよという人もいます。
逆に、大切に育てた野菜を黙って盗まれれば、傷つきます。
コミュニティガーデンで野菜をとる人は、盗んでいる意識を抱いていないのではないかと思います。
こうした悲しい盗難を防ぐためには、やはりコミュニケーションが必要なのだろうと思います。
もちろん、ガーデン内でイベントは多々行われていますし、地域との交流もあるのですが、イベントにあまり参加していない会員や会員でない地域住民のためにも、ガーデンの野菜は店で販売されている野菜と異なり人々の思いが込められていること、ひとこと声を掛ければ野菜を分けてくれる人がいること、ガーデン以外の場所でも無料で食料を提供する組織やイベントが多々あることなどを伝えていくだけで、違いが出るのではないかと思います。
現代社会、特に都市部では人間関係が希薄になりがちですが、地域全体のコミュニケーションが軽犯罪防止や地域活性化の一助になるのではないかと思います。
人間関係が密な地方の方から見れば、面倒なことと感じるかもしれませんが、人間はひとりでは生きていけませんから、多少なりとも地域内のコミュニケーションや近所づきあいは必要なのではないかと思います。
そして、ニューヨークに住む人の多くが、今それを求めているように感じます。
まだ寒い日もありますが、ガーデンには少しずつ草が生えはじめ、春の兆しを感じます。
これに懲りず、また夏に向けて野菜作りを楽しもうと思います。
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