2015/04/16

既に始まっている気候変動:深刻な水不足に米企業はどう対処しているのか

国土が大きいアメリカでは、干ばつ、洪水、竜巻、ハリケーン、山火事、猛暑、厳寒、大雪と、地域により多種多様の異常気象が発生しており、その規模と頻度は増すばかりです(一週間にどれだけの災害報道があるか、ヤフーコラムに記載しています)。

中でもとりわけ深刻なのが、カリフォルニア州の干ばつです。同州では過去4年間、深刻な水不足が続いており、昨年から市民と水関連の事業者に対し、洗車や植物の水遣り制限、水使用量の報告強化等の緊急規制が課されています。今年に入り、飲食・ホテル等の事業者にも規制が課されることになりましたが、顧客から要求があった場合のみ水を提供する、タオルやベッドリネンを毎日替えない選択肢があることを目立つように表示するといった軽度の規制のみであり、製造業等への規制はありませんでした。


2015/03/31

環境・社会問題に対する企業の役割

先月のダボス会議で、「ビジネスは社会問題の解決をリードすべきか」と題したセッションがありました。

以前お伝えしたように、アメリカでは、社会便益を追及する新たな企業形態「ベネフィット・コーポレーション」が生まれ、多くの企業が株式会社から組織変更しています。この背景には、企業の存在意義を問う声、企業はどこまで環境・社会問題に責任を負うべきかという議論が増えていることがあります。ダボス会議のセッションでは、これに対する興味深い意見が提示されていたので、ご紹介したいと思います。

2015/02/01

サプライチェーンの透明性

アメリカでは、CSR情報の開示に関する政府の規制が徐々に増えてきています。

そのひとつに、2012年に施行されたカリフォルニア州サプライチェーン透明法があります。

同法は、同州で事業を行う、世界売上1億ドル以上の小売・製造業者に対し、サプライチェーンにおける人身売買や奴隷労働を排除する取組みを開示するよう求める法律です。

あくまで、同州事業者のみを対象とする州法に過ぎませんが、大企業の多くが同州で事業を行っているため、現在、当該情報を開示している企業は400社ほどにも上ります。

また、同法は排除を強制するものではなく、情報開示の要請に留まりますが、対策していないことへの批判を恐れる企業に対して牽制の役割を果たすため、実質的には抑制効果があると考えられます。

2014/12/15

社会的企業のための新たな企業形態「ベネフィット・コーポレーション」

営利企業でありながら社会的な便益も追及する、いわゆる社会的企業が世界的に増えています。アメリカではこうした情勢を反映し、いち早く法整備が行われています。

株式会社や有限責任会社(LLC)などに代わる新たな企業形態として、「ベネフィット・コーポレーション」という法人格を認める法案が次々可決され、多くの企業が組織変更を行っています。

アメリカでは州ごとに企業形態が定められていますが、現在ベネフィット・コーポレーションの設立・組織変更を認めている州は27に上り、さらに14州が法案可決に向けて動いています。

2014/09/05

言葉に惑わされない

海外在住者として私が感じる日米間の違いの中に、言葉の捉え方があります。

たとえば、一時期日本で「CSRからCSVへ」といった論調の記事をよく見かけました。

ご存知の通り、CSRは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)であり、CSVはマイケル・ポーター教授が提唱した、共通価値の創造(Creating Shared Value)のことです。

詳細は教授の論文やメディアの記事を見て頂ければと思いますが、ざっくりと言えば、ポーター教授の主張は、社会活動を責任と捉えるのではなく、機会として事業に取り入れ、社会問題を解決しながら企業利益を生む、つまり、企業価値と社会価値を共存させる、ということです。

素晴らしい概念ではありますが、アメリカでは、似たような意味を持つ言葉として「トリプル・ボトムライン(社会(People)・環境(Planet)・財務(Profit)のすべてで利益を生む)」や「自然資本主義(自然資本と人的資本を資本主義に取り入れる)」などがありますし、CSRは事業と無関係の慈善活動のみとは捉えられていないため、CSVという用語が特別注目されることはありませんでした。