2012/09/10

ポートランドとサステナビリティ


先日ポートランドに出張に行く機会がありました。
サステナブルな都市として有名なので、楽しみにしていました。

実際行ってみると、本当に非常にサステナブルな街でした。
アメリカの都市では珍しく公共交通が発達しているうえ、市が自転車利用を促進しているため、中心部では車の必要性を感じず、自転車や歩いている人も非常に多く見受けられました(歩いている人が珍しいというアメリカの環境自体が問題でもありますが)。
食事は何を食べてもおいしく、ローカル&オーガニック食材にこだわっているレストランが多く、ファーマーズマーケットも充実し、人々のサステナビリティに対する意識が非常に高い。
至るところに雨水取水設備があり、街は清潔で安全、警察がなんだかのんびりしている。
そのうえ、人々はおしゃれで、街の雰囲気もスタイリッシュ。
かっこよくサステナビリティを実践する、理想郷のような都市でした。

しかし、よく見てみると、それはとても表層的な理想郷でした。




白人で埋め尽くされる野外無料クラシックコンサート

 ポートランドは白人人口が非常に多い。
というより、白人以外ほとんど目にすることがありませんでした。

アメリカは多民族国家。
多様性を考えることなくサステナビリティを実現するのは不可能です。
ところがポートランドには白人しか住んでいない。

最終日に敢えて電車で空港に向かったのですが
(ホテルの人が空港行きの輸送手段を手配しなくてよいのかしつこく聞くので、電車で行くと答えると、驚かれました。それもまた真のサステナブルではないことの証でもあるのですが)、
空港に近づくにつれ、黒人だらけの駅、ヒスパニックだらけの駅が現れてきました。
完全に人種が分断されているのです。

白人が住む地域で出会ったアジア系女性に伺ったところ、この街の人は皆自分をリベラルだというが、これを見たらどこかリベラルかと思う、と仰っていました。

白人による、白人の、白人のための街。
いくらサステナブルという言葉で装っていても、真の問題に眼を伏せた仮に姿にしか見えませんでした。

詳しいことは、現在執筆中の本に記載する予定です。

サステナビリティの実現は難しいこと。
しかし、それを成し遂げなければ、私たちに将来はありません。
完璧な解は永遠に見つかることはないでしょうが、可能な範囲で最適な解を見つけていくしかありません。
色々と考えさせられるポートランド出張でした。

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