2012/01/22

ワシントンモニュメント補修に750万ドルを寄付したビリオネイヤから学ぶこと

昨年夏に米東部で起こった地震により、ワシントンDCのランドマークである、ワシントンモニュメントが大きな被害を受けました。
無期限の立ち入り禁止となり、被害状況調査が進められていましたが、内外部にかなりの破損があることが判明。
修復工事の予算確保に困窮していたところ、地元ビリオネイヤが750万ドルの寄付を表明したことが、話題になりました。

寄付を申し出たのは、投資会社オーナーのデービッド・ルーベンスタイン氏。
資産額27億ドルとされる同氏は(Forbes)、これまでにも、ホワイトハウス歴史協会に1,000万ドル、歴史資産保護に1,350万ドル、地元動物園に450万ドルと、地元団体に多額の寄付をしています。
今回の寄付に関するプレス発表が行われましたが、ルーベンスタイン氏は次のように述べています。


「自分の資産を墓に持って行こうとは思わない。生きている間に、自分が良いと思うことに対して寄付させて頂く喜びを享受したい。」

「私と同様の手段がある人には、国への恩返しとなるような贈り物をして欲しいし、そうする義務があると思う。」
(CNN Money)

こういう人こそ、金持ちになる資格があるのではないかと思います。

ルーベンスタイン氏は、上記以外にも、ニューヨークのリンカーンセンターや母校のデューク大学やシカゴ大学ロースクールなどに多額の寄付をしています。
そして、ウォーレン・バフェット氏とビル・ゲイツ夫妻が設立した、生涯資産の半分以上を慈善活動に寄付することを約束するアメリカのビリオネイヤ向けチャリティ・キャンペーン「ギビング・プレッジ」に誓約しています。

ギビング・プレッジは現状アメリカのビリオネイヤのみが対象ですが、日本でものソフトバンクの孫正義氏が東日本震災に100億円(=1.3億ドル)の寄付を表明するなど、金持ちの寄付の輪が広がっているようです(孫氏の資産額は81億ドル(Forbes))。

そもそも、生活費にすら困る人が大勢いる中で、あるいは生活費以前に清潔な飲料水や食糧など生きるための最低限の物資すら得られない人が世界中に大勢いる中で、個人が一生に使い切れないほどの巨額を稼ぐことができてしまうシステム自体に問題があるとは思いますが、稼いだお金を正しい方法で使うことができるなら、そしてそういう人が多数を占めるようになるなら、現在のシステムにも意味はあるのかもしれません。

ルーベンスタイン氏が人よりモノに寄付する傾向があるのは多少気になるところではありますが、価値観は人それぞれですし、モノによって人が幸福になることもあるので、自分以外への奉仕という点では正しいことなのだろうと思います。

人生において、お金は単なる手段に過ぎません。
稼ぐこと自体は悪いことではありませんが、それをどう使うかが問題なのだと思います。
地位や名声、権力も、同じことだと思います。
会社の経営においても、同じことが言えると思います。

「ギビング・プレッジ」に誓約しているビリオネイヤは、たった59人(Giving Pledge)。
一方、アメリカのビリオネイヤは400人以上(Forbes)。

チャリティがすべてではありませんが、大金を稼がずとも「寄付させて頂く喜びを享受したい」という境地に至る人も多い中、上記59人以外の人は、自身の死に直面したときに何を思うのでしょうか。

ビリオネイヤはもとより、お金に余裕のある多くの人が、ルーベンスタイン氏の発言から何かを感じ取れば、と願います。

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