2013/03/29

過去から学ぶこと

ニューミュージアムに、「NYC 1993: Experimental Jet Set, Trash and No Star」を見に行きました。

説明書きには、90年代初期に起こっていたこととして「欧州の紛争、中東和平、エイズ問題、医療保険問題、銃規制、同性愛者の権利」と記載されていました。

すべて、最近のニュースで盛んに取り上げられていることばかり。
20年前経っても、何ひとつ解決されていないことを実感しました。
 恐らくキュレーターも、それを伝えたかったのではないかと思います。 

ただ、展示は全体として性的な作品やエイズや銃による殺人など社会問題を問い掛けるグロテスクな作品が多く、総括していえば"変態の館"という感じでしたが(アーティストの方々、すいません・・・)、現在はオーガニック関連の店の出現がジェントリフィケーションの兆候と見られているくらいですから、文化的には20年間でだいぶ穏やかになったのだろうと思います。 

いまから20年後の2033年には、上記の諸問題は解決されているのか。
私たちの行動が問われているのでしょう。


2013/03/22

クラウド時代のファッションの形

かねてから、いずれファッションはウエブ上でオーダーメイドになるだろう(買い手が欲しいもののみを作り販売するようになる)と思っていたのですが、TeePublicにその片鱗を見たように思います。

TeePublicは、クラウドファンディング型のTシャツショップです。
不特定多数の「デザイナー」が、TeePublicのサイトに自分のデザイン(写真も可)をアップロードし、1カ月以内に30人以上の購入希望者を獲得するとTシャツとして製品化され、希望した人たちに販売されるという仕組みです。
一度製品化されると、永続的にそのデザインがサイトに掲載され、販売され続けます。
Tシャツは1枚20ドルで販売され、デザイナーは1枚販売される毎に5ドルのデザイン料を受け取ります。
Tシャツの型と素材は決まっているので、デザイナーはそこに描かれるグラフィックデザイン(色制限なし)と地色(1色のみ)を選ぶことができます。

TeePublicを「ブランド」と捉えるなら、ファッションブランドに「デザイナー」は必要なくなったということでしょう。

2013/03/12

ニューヨーク市の糖分入り飲料のサイズ規制、
施行前日に州最高裁判事が否決
~なぜこんなにも批判が多いのか~

昨年大きな話題となった、ニューヨーク市の糖分入り飲料のサイズ規制。
これは、市の肥満対策の一環で、映画館やデリなどで販売されているカップ入りの糖分入り飲料に対し、16オンス(約450g)以上の販売を禁止するという条例です。
昨年、この条例を市議会が可決し、本日3/12から施行されることになっていました。
市内の店舗は、メニューを変えたり注意書きしたりと、今日の施行に向けて準備を進めていました。

ところが、昨日(3/11)、突如ニューヨーク州の上位裁判所判事がこの条例を無効とする判決を下しました。
これに対し、メディアは一斉に判決に対する好意的なニュースを流しました。

昨年から、このニュースをずっと追っていたのですが、どうにも奇妙な感覚を抱いていました。
その理由のひとつは、メディアがこの規制に対する賛成意見をほとんど出していないことです。

もちろん、この規制は抜け穴があまりに多く(規制対象が映画館やデリのみで、コンビニやスーパーは除外、主に炭酸飲料のみが対象で、乳製品などは除外、など)、それに対する不満は当然だと思います。
個人の選択の権利の侵害だという意見も、アメリカ人らしくて最もだと思います。

ただ、ニューヨークは健康志向の高い街ですから、地方都市でよく見かけるような、バケツのようなカップで炭酸飲料を飲んでいる人など、ほとんどいません。
むしろ、炭酸飲料やファストフードを嫌悪している人の方が多いと思います。
2年前のオキュパイ・ムーブメント(ウォール街を占拠せよ運動)でも、批判の対象は金融業界と「大企業」でした。