海外在住者として私が感じる日米間の違いの中に、”言葉の捉え方”があります。
たとえば、一時期日本で「CSRからCSVへ」といった論調の記事をよく見かけました。
ご存知の通り、CSRは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)であり、CSVはマイケル・ポーター教授が提唱した、共通価値の創造(Creating Shared Value)のことです。
詳細は教授の論文やメディアの記事を見て頂ければと思いますが、ざっくりと言えば、ポーター教授の主張は、社会活動を責任と捉えるのではなく、機会として事業に取り入れ、社会問題を解決しながら企業利益を生む、つまり、企業価値と社会価値を共存させる、ということです。
素晴らしい概念ではありますが、アメリカでは、似たような意味を持つ言葉として「トリプル・ボトムライン(社会(People)・環境(Planet)・財務(Profit)のすべてで利益を生む)」や「自然資本主義(自然資本と人的資本を資本主義に取り入れる)」などがありますし、CSRは事業と無関係の慈善活動のみとは捉えられていないため、CSVという用語が特別注目されることはありませんでした。